水文・水資源学会創立30周年を記念し,本学会に所属する12人の若手研究者が取り組む水文・水資源学の研究分野の歴史と展望を取りまとめた.本総説では, 現在の若手研究者の研究内容を示すことで水文・水資源学分野の現在のトレンドを理解し,次世代が参照できる形で現在の若手研究者の考える今後の展望と若手研究者としての今後の決意表明を各著者の専門分野に分けて述べる.対象分野は大気・水象から,データ解析,降雨流出,環境水文,農業水利まで多岐にわたり,各研究分野の最新の知見および今後の展望を解説する.最後に,これら複数の研究内容を俯瞰することで得られた応用研究の学術的価値,現地観測と数値解析の関係,人工知能技術の台頭による制御問題の拡大,学際性,研究内容による評価の違い,データ共有の重要性に関する視点をまとめる.