気象庁JRA-55長期再解析データを入力とした陸面過程モデルSiBUCによる解析から,2020年3月上旬の積雪相当水量は日本の多くの流域において過去60年で最少,もしくはそれに匹敵する少なさであることが明らかとなった.過去60年の積雪相当水量,気温,降水量を標準化して表す指標により各年の事例の顕著さを推計し,これにより2020年の事例の背景として関東,甲信越,北陸,南東北では過去60年で最高となる気温の影響が示唆された.一方,気温の高さが上述の地域ほど顕著ではない北海道においては数年から数十年に一度程度となる降水量の少なさの影響が示唆された.本解析により2020年の少雪は地域によりその背景にある傾向が異なることが明らかとなった.