インドネシアでは小水力発電等の再生可能エネルギーによって遠隔地域における村落の電化が進められてきた.しかし,そのような村落に設置された小水力発電所(MHPP)の導入後の維持管理については追跡調査が行われておらず,MHPPの運営実態については十分にわかっていない.本研究では西ジャワ州の遠隔農村であるCiptagelar(チプタゲラ)集落を対象に,住民主体で管理されているMHPPの運営実態の詳細を明らかにすることを目的として,小水力発電事業の歴史,MHPPの概要,およびその運営状況を調査した.チプタゲラ集落にある4つのMHPPはこれまで,人為的な操作ミスや災害等により度々故障し,長期的に稼働停止する場合があった.MHPPの維持管理・運営コストと電気料金の帳簿データを精査した結果,住民からの電気料金によってMHPPの最低限の維持管理はできるが,災害復旧費等は確保できない状況にあることがわかった.取水河川の流況から推定したMHPPの発電出力から,使用可能電力の偏在が確認され,余剰電力の有効活用や災害へのレジリエンスを高めるマイクログリッドが有効であると考えられた.