水文・水資源学会誌
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原著論文
水質総負荷量の計測システム開発とその適用例
高瀬 恵次伊藤 優子
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2021 年 34 巻 5 号 p. 274-282

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抄録

 水質の保全・管理は安全な水資源の確保のみならず,地域の水環境保全にとって重要な課題である.これまでの水質管理は濃度規制的な立場に重きを置いて行われてきたが,近年の排出物質の多様化と排出水量の増加は総量規制による水質管理が重要になることを示唆している.さらに,総負荷量の正確な把握は流域における物質循環・物質収支を理解する上で基本的な事項である.しかしながら,総負荷量の計測には多大の労力と時間あるいは経費を必要することが多く,その正確な把握はそれほど容易ではないのが現状である.そこで,本研究では総負荷量を対象として,これを簡便に正確に計測できるシステムを構築した.そして,これを積雪地の森林理水試験地に適用し,従来からよく用いられてきたオートサンプラーを用いた定時間間隔採水による総負荷量算定値と比較することによって,その有効性を検討した.その結果,両者はよく一致し,本計測システムを用いれば,面源からの長期間にわたる総負荷量を簡便に正確に計測できることが示された.

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© 2021 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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