網走川の河口付近に位置する網走湖では,上層が淡水,下層が塩水の二成層状態となっている.近年,塩淡境界層の上昇,塩水層の無酸素化や湖の富栄養化などの現象に伴って青潮やアオコ等の問題も発生し社会的な問題となっている.本研究は,網走川,網走湖およびオホーツク海域の水理的なメカニズムの把握と,将来予測される各種対策の効果や影響を予測するための水理モデルの検討を行なったものである.モデルは,河川,湖および海域の複雑な境界条件や水理現象を表現可能な一般座標を用いた3次元非定常密度流モデルとし,モデルの検証は,網走湖の水理現象において特徴的な,大潮時の塩水の流入および洪水時の流出という2つの異なる現象時における観測結果との比較を通して行われた.この結果,モデルは観測結果とほぼ良好な一致が見られ,実用的に十分な精度の現象把握が可能であることが示された.