水文・水資源学会誌
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水利用効率・純光合成速度・蒸散速度の決定要因
α-β法を用いた解析
小杉 緑子小橋 澄治
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1997 年 10 巻 1 号 p. 32-43

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抄録
本研究は野外観測から得られた水利用効率,純光合成速度,蒸散速度の決定要因を二つのパラメータα(CO2フラックスに対する全コンダクタンス/H2Oフラックスに対する全コンダクタンス),β(潜熱フラックスに対する全コンダクタンス/顕熱フラックスに対する全コンダクタンス)を用いて説明したものである.観測から明らかになった水利用効率の特性は,以下の3点であった.(1)午前中の水利用効率は午後より高い,(2)冬の水利用効率は夏より高い.(3)水利用効率の値は10-1から102(mg/g)の範囲に分布しており,樹種間差より環境条件の違いによる変動のほうが大きい,これらの特徴は純光合成速度と蒸散速度の日変化および季節変化の違いを反映したものである.解析から,(1),(2)はおもに飽差の違い,一部にはαの違いが原因となって起こり,(3)はαの樹種間差があまりないことによることが分かった.また,水利用効率,純光合成速度,蒸散速度の値の範囲がα,βを用いて説明された.
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