抄録
本論文は能動型マイクロ波リモートセンシングによる土壌水分計測の第II部であり,車載型Cバンド散乱計を作製し屋外実験を行なった.様々な土壌種類,地表面粗度,植生地を選び散乱実験を行なったところ,次のような結果が得られた.(i)可搬で組み立て型で,設定が容易な車載型Cバンド散乱計システムを構築した.(ii)30°以上の入射角についても後方散乱係数と土壌水分量の間に正の相関が見られた.しかし入射角が大きくなるに連れ,土壌水分感度,相関係数ともに小さくなる傾向が見られた.(iii)実験サイト毎に後方散乱係数と土壌水分量関係は大きく異なる.これには地表面の粗度と植生が非常に大きな影響を与えている.(iv)土壌種類よりも地表面粗度の方が後方散乱係数と土壌水分量関係に大きな影響を与えており,粗度を定量的に評価しなければならない.