水文・水資源学会誌
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用水系における余剰水の有効化を目的とした調整池の効率的な運用方法
李 尚奉西村 眞一伊藤 健吾千家 正照
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2002 年 15 巻 5 号 p. 505-512

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抄録

一般的な日本の用水系は受益地需要水量を河川自流から取水し,その不足分をダム放流から補給する形態となっている.この場合,降雨があれば受益地需要量の減少と河川自流量の増加により,取水されずに無効放流される水(余剰水)が生じる.しかし,ある程度の容量を持つ調整池が水源と取水施設の間にあれば,余剰水を吸収し受益地の水需要が生じたときに利用することが可能である.また,変化する河川自流量を予測しながらダムと調整池を連係操作することにより効率的な用水管理が可能である.本研究では,これらの余剰水を有効利用するためのダムと調整池の運用方法を提案する.また,提案した運用方法を用水が不足している実存の用水系に適用し,得られる用水量増加の効果をシミュレーションで検討した.さらに,このシミュレーションに河川自流量の予測モデルを加え,現実により近い運用に対して試みた.その結果,提案するダムと調整池の運用方法は渇水年に大きい効果があることが定量的に明らかになった.

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