抄録
北海道北部の7小流域の冬期流出について減水曲線,日流出高等の検討を行った. 12月中旬から3月中旬までの70~100日間にわたり安定した流出が観測された.また,夏期に観測されるような流域からの蒸発散によると推定される流量の日変動は冬期の流出では認められなかった. 冬期渇水流出高は2月にはほぼ一定となり,蛇紋岩の流域で0.8~1.2mm/dayと多かったのに対し,新第三系堆積岩の流域では0.3~0.8mm/dayと流域による差があった.さらに,流出高がほぼ一定となるまでの期間は,蛇紋岩地帯で約10日であったのに対し,新第三系堆積岩地帯で30~40日と長く,冬期流出には流域山体の水文特性の違いが反映されていることが明らかになった.