水文・水資源学会誌
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黒色火山性土の裸地圃場からの蒸発量
近藤 純正徐 健青福本 昌人
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1995 年 8 巻 2 号 p. 174-183

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抄録

裸地面の蒸発,地表面温度,土壌水分の日変化および年変化の計算モデルを提示した.このモデルでは土壌空隙内の水蒸気拡散および降雨時に機能する大空隙のパイプ流が考慮されている.このモデルはKondo・Saigusa (1994)の土壌多層モデルを実用向きに改良したものであり, 5層モデル(近藤, 1994b)を基礎にしている. このモデルによる計算の結果は,黒色火山性土(クロボク土,土性はclay loam)の圃場で5~8月の92日間にわたる観測結果(福本・広田,1994)とよく対応する.総蒸発量の観測値が189mmに対し,計算値は197mmである.地表面温度の日平均値の観測値と計算値の差は±1℃以内である. 仮にパイプ流がないとした場合を計算してみると,最表層の土壌水分の計算値は降雨後の数日間,かなり大きな値となる.しかし,総蒸発量はわずか11mmしか増加しない.

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