2020 年 8 巻 2 号 p. 156-160
梅毒は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)の感染による性感染症の一つで,近年感染者数が急増していることから特に注目されている性感染症である.今回,我々は咽頭痛,頸部リンパ節腫大を主訴に受診した扁桃梅毒の1例を経験したので報告する.
症例は62歳男性.1週間前より持続する咽頭痛と右頸部リンパ節腫大を主訴に近医耳鼻咽喉科を受診し,右口蓋扁桃に白色の隆起性病変と右頸部リンパ節腫大を認め,精査目的に当科紹介となった.当初悪性疾患を疑い,右扁桃病変より生検を行ったところ著しい形質細胞浸潤と,抗spirochete染色で多数の菌体を認め,梅毒血清反応にてTP抗体,RPR定量の上昇とFTA-ABSの陽性,皮膚科受診により梅毒性皮疹が証明されたことから第2期扁桃梅毒と診断した.近年咽頭梅毒患者は増加しており,咽頭痛で受診する患者の診察において念頭に置かなければならない疾患と考えられた.