中国が2005年から取り組み始めた新農村建設事業の調査に基づく報告である。調査は2007年に山東省青島市,遼寧省瀋陽市で行った。新農村建設は,既存の村落を対象とする生活・生産環境整備であるが,従来の村鎮建設が地方の小都市の整備を目的としていたのと異なり,末端農村を対象としている点に最大の特徴がある。三農問題の解決の主要な手段として位置付けられており,多くの可能性を感じさせる一方で,中国の体制や制度の下で生起している課題を垣間見ることができた。本報では調査をもとに,新農村建設の特徴・課題の検討に併せて農