いま農村地域を活性化する上で求められているのは,「仕掛け人」と呼ばれるような地域づくりコーディネータの育成である。地域づくりのための人材支援に関しては,人員を配置したり,そのための予算的措置を講じたりするだけでは十分とはいえず,地域づくりのノウハウや技術を取得した人材をいかに育成するかが鍵を握る。茨城県常陸太田市「わがまち地元学事業」では,市職員や一般市民に対して地域づくりのためのワークショップ研修等を実施して地域づくりコーディネータを育成し,育成されたコーディネータが実際に地域づくり支援を実践している。ここで用いた研修プログラムは,①市内の先発事例を見学して集落点検ワークショップ等の効果を確認し,②ワークショップに関する基本的知識を講義で学び,先発事例地区を題材にした実習でワークショップに関する技術を習得し,③実際の地域で学んだ技術を試みてマスターするというものである。このプログラムで重視したのは,ワークショップ研修の準備(地域住民との交渉,道具の購入や地図の作成など)を研修生自身が行うという点である。