中国北西部の草原の状況は急激に悪化・砂漠化しており,その荒廃を食い止めることが喫緊の課題となっている。そのため,さまざまな取組みが行われており,その取組みの一環として灌漑設備を備えた人工草地を建設し,長期的な飼料生産を実現させる取組みを実施している。一方,現地の牧民がこれらの施設を効率的に利用できておらず,貴重な灌漑用水がムダに利用されている現状がある。そのため,中国内モンゴル自治区杭錦旗,新疆ウイグル自治区ムーライ県において現地実証試験圃場を設置して効率的な灌漑施設の建設および飼料作物の生産に向けた検証を行った。今回の報文では,2008年に実施した地区での実証試験の結果および今後の課題について報告する。