本報では水田地域を含む小貝川流域を対象に水温変化の状況を時間的,面的に把握した。対象流域内の以下の地点に水位・水温計を設置し,流量と水温を連続観測した。a)本川の上・中・下流と支川(流域全体での水温変化の把握),b)複数の水田地域の取水地点と河川への還元地点(水田地域内での水温変化の把握),c)幹線用水路の上・中・下流(用水路流下過程での水温変化の把握)。その結果,水温は河川や用水路の流下過程で上昇するものの,水田や排水路を通過する過程で低下するので,水田地域を含むことで流域内の水温上昇が抑えられていることが示唆された。また,流下過程での水温上昇には日射量もしくは気温が影響していることが確認された。