わが国には約21万カ所のため池が存在し,地域別に見ると近畿地方および降水量の少ない瀬戸内地方に多く存在している。ため池のうち,受益面積が2ha以上のものは,約6.5万カ所となっており,その4分の3は江戸時代以前に築造されたものである。約6.5万カ所のため池のうち,約20%は主に老朽化対策として国庫補助事業により整備されてきたが,東日本大震災の影響から,中央防災会議において検討されている南海トラフの巨大地震などの大規模地震の対策が急務となっている。本報では,ため池の現状と大規模地震,豪雨災害の対策および管理・監視体制における背景と課題,さらに,これらの防災・減災対策の施策や取組みについて記述する。