2013 年 81 巻 8 号 p. 635-638,a2
能登半島の先端に位置する石川県珠洲市は過疎高齢化が進行した地域であり,小規模なため池を中心に放棄や管理の粗放化が問題となっている。現在,多様な主体の参画・連携のもと策定作業が進められている「地域連携保全活動計画」のなかで,ため池の希少水生生物を守りながら地域資源としての利活用を図るために,放棄されたため池を利用したジュンサイ栽培が提案されている。能登地域ではジュンサイ利用の食文化もあり,地域需要も見込まれるほか,ジュンサイは希少ゲンゴロウ類などの水生昆虫の産卵植物や隠れ場として貢献しうる。当該地区の取組みは,放棄された小規模ため池を新たな地域資源として再生・位置づけるものとして注目される。