藍藻類の異常増殖によるアオコが発生すると,灌漑用水は緑色に着色する。その水を農作物に散布した場合,葉物野菜や花に付着すると斑点が生じ商品価値を下げてしまうことがある。また,アオコが混入した水を散布する際に,噴霧器や多孔管などの穴が目詰まりする恐れもある。それ以外にも,景観障害や魚のへい死や悪臭なども懸念される。このような水質障害を軽減するための対策技術の確立が急務となっている。
農業用貯水池の水質改善対策としてはさまざまなものが提案されているが,貯水容量が非常に大きく,しかも栄養塩濃度が高いという特殊性から適用可能な対策はきわめて限定的である。本報では,そのなかでも一定の改善効果が期待できる「曝気循環設備」,「滞留時間の短縮」,「干し上げ」,「バイパス水路」による水質改善について解説した。