都市農業は全国の農業産出額の約3割を占めるなど食料の安定供給に加え,多面的機能という点では東日本大震災以降,防災面(避難場所など)での重要性が再認識されている。しかし,市街化調整区域の農地保全には国の法律だけでなく自治体独自の取組みが必要である。本報では,都市農業のうち調整区域内の農地保全策である横浜市農業専用地区制度の特性を紹介したうえで,当制度が調整区域における農業・地域振興に与える効果とその効果の発現過程を検討した。結果,横浜市農業専用地区制度を導入することで内発的な地域振興が展開されるという効果がみられ,またその効果は当制度の特徴と地元農家により設立される農専地区協議会の機能により発現していた。