東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性セシウムの農業用水源への移行と下流への拡散が懸念されている。農業用水における放射性物質の動態を解明するとともにその経時変化を予測することは,震災復興に欠かせない重要な課題である。本研究では,福島県の灌漑地区を対象に農業用水に対する水質調査と放射性セシウムのモニタリングを実施した。その結果,農業用水の濁度と放射性セシウム濃度に一定の関係があるという知見が得られ,幹線用水路に流入する農業用水の濁度をモニタリングし,管理者にリアルタイムで通知することで水管理上の対策を促し,放射性物質の農地への流入防止につながる可能性が示された。