本報では,都市における持続的な農業の形態として,都市住民と農業者が有機的な関係にある市民参加型の農業モデルの展開方向について考察した。まず,都市住民による都市農業に対する新たなニーズとして,地震などに対する防災と災害対応,高齢者を含む都市住民の福祉・コミュニティ機能の2つを挙げた。それらの機能を発揮しうる農業モデルとして,都市住民が地元の農業者を買い支え,農作業への支援を行う市民参加型の仕組みであるCSAを取り上げ,国内の2つの農場の事例をもとに,CSAが都市農業の有する多様な機能の発揮に寄与することを明らかにした。