農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
84 巻 , 11 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 渡邉 新一郎
    2016 年 84 巻 11 号 p. 921-925,a1
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    わが国の都市農業が有する多様な機能の発揮への期待を含めた都市農業に対する評価が高まる中,議員立法により平成27年4月に制定された「都市農業振興基本法」に基づき,都市農業の振興に関する施策の基本的な方向などを定めることとされた「都市農業振興基本計画」が平成28年5月13日に閣議決定されたところである。本報では,都市農業振興基本計画に示された都市農業の振興に関する基本的な方針や今後講ずべき施策の概要および今後の都市農業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項などについて,紹介するものである。

  • ―都市農業振興基本法のもとでの都市農業―
    後藤 光蔵
    2016 年 84 巻 11 号 p. 927-930,a1
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    2015年4月に都市農業振興基本法が制定され,2016年5月にそれに基づいて都市農業振興基本計画が閣議決定された。この法律は,1968年の都市計画法で宅地化すべきものとされた市街化区域内農地も含めて,都市の農地の位置づけを「あって当たり前のもの」「あるべきもの」へ180度転換させるものである。本報は都市農業振興基本法成立の背景とその意義,および都市農業振興基本法による都市農業・農地の位置づけの転換が計画的都市農業・農地利用への取組みという新たな課題をもたらしていることを考察した。

  • 浅井 葉子
    2016 年 84 巻 11 号 p. 931-935,a1
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    練馬区は生きた農業が都市生活に融合している都市である。江戸時代から,江戸の町に近い利便性を生かした近郊農業が営まれ,現在も,地の利を生かした多くの都市農業の取組みが進められている。住宅地に点在する農地は,まちづくりの歴史の中で,意欲ある農業者などの努力により必然的に残ってきたものである。農地と屋敷林が醸し出す農の風景は人々に潤いと安らぎを与え,農に関わる都市生活は真の豊かさをもたらす。今後,都市農地を保全する制度の確立と,都市農業が発展できるまちづくりの仕組みを早急に整備する必要がある。本報では,練馬区に息づく農の取組みを概観し,制度の変遷の歴史を踏まえつつ,現行制度の課題を提示すると同時に,練馬区の未来に向けた取組みを紹介する。

  • 溝端 悦規
    2016 年 84 巻 11 号 p. 937-940,a1
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    阪神淡路大震災を契機に,全国的に「災害に強いまちづくり」が進められており,南海トラフ地震や直下型地震の発生が危惧されている中,大阪府では平成15年に農地を防災空間として保全活用することを目的に,大阪府および府内市町村で「大阪府防災農地推進連絡会」が設置された。貝塚市においては,貝塚市地域防災計画に基づき,安全・安心のまちづくり,防災機能の整備を推進し,さらに強化するため,都市部の農地の持つ防災機能に着目し,平成20年より「防災農地」の取組みを行っている。現在,市内では269筆15.6 haの農地が防災農地に登録されており,防災訓練などを通じ,「防災農地」について市民への周知啓発に努めている。平成27年度には,国の調査事業を活用し,貝塚市の防災農地の取組みの現状と今後の課題について,調査検証を行った。

  • 唐崎 卓也
    2016 年 84 巻 11 号 p. 941-944,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    本報では,都市における持続的な農業の形態として,都市住民と農業者が有機的な関係にある市民参加型の農業モデルの展開方向について考察した。まず,都市住民による都市農業に対する新たなニーズとして,地震などに対する防災と災害対応,高齢者を含む都市住民の福祉・コミュニティ機能の2つを挙げた。それらの機能を発揮しうる農業モデルとして,都市住民が地元の農業者を買い支え,農作業への支援を行う市民参加型の仕組みであるCSAを取り上げ,国内の2つの農場の事例をもとに,CSAが都市農業の有する多様な機能の発揮に寄与することを明らかにした。

  • 内川 義行
    2016 年 84 巻 11 号 p. 945-948,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農村への移住・定住願望は増大しているといわれ,同地域に居住する非農家割合もまた増加している。これらの人々にとり魅力ある,農村ならではの暮らしを実現するためのツールとして市民農園の役割は大きい。一方,その先行研究は,多くが都市市街地と近郊地域が主対象であった。また,農村部では都市農村交流の機能にフォーカスしたものが多く,地域在住の非農家向け農園は存在するが,これに着目した研究は蓄積がない。そこで本報は,長野県千曲市を事例にその実態を把握し,課題を抽出・検討した。その結果,農村地域に在住する非農家向け市民農園は,配置や施設整備と連動した総合的な計画のもと実施されているとはいえず,今後はこれまでの都市近郊での成果・経験を活かしつつも,農村部独自の新たな計画論が必要なことを示した。

  • 石井 敦
    2016 年 84 巻 11 号 p. 949-952,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    平野部水田地帯の「都市農業」の保全・活性化のための農地利用・整備計画について論じた。日本の平野部の都市の多くは,広大な水田地帯で囲まれているため,今後,耕作放棄を防止して農地および良好な生活環境を保全するためには,土地利用型農業でかつ採算のとれる大規模稲作経営を中核とした,多様な農業を行ってゆく必要があること,単位農業経営規模(経営面積/専従作業員数),作目,灌漑排水施設の要否といった属性の異なる農業経営体の単位耕作地群を,ジグソーパズルのピースをはめ込むような方式でゾーニングを行った上で,適切な整備をする必要があること,耕作地調整によってこうしたゾーン分けは実現可能であることなどを,国内外の先駆的事例を参照して論述した。

  • 齋藤 晴美, 渡邊 史郎, 後藤 光喜
    2016 年 84 巻 11 号 p. 955-958,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    わが国は歴史的に灌漑事業が先行するものの,明治の近代国家成立以降灌漑と農地整備の双方を追い求めてきた。一方,東南アジアの農地の整備状況をみると東南アジア諸国では稲の2,3期作が可能なことから,農地の整備はまだその緒についたばかりである。これは,コメの輸出大国であるタイを含め,カンボジア,スリランカにおいて同様のことが言える。理由として,農地整備や機械の導入による労働生産性の向上よりも,灌漑による土地生産性の向上に重点を置いているからである。また,換地処分や事業実施手続きに係る法制度の整備が不十分であることも関係している。しかし,ミャンマーのように本格的な農地整備に着手した国もあり,国々の状況に応じて,技術協力を進めていく。

  • 坂田 賢, 吉村 亜希子, 野坂 浩司
    2016 年 84 巻 11 号 p. 959-962,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    コメの生産費削減や農業法人増加の促進が政府方針として定められている。実現手段の一つとして水田の大区画化を契機とした営農の効率化が挙げられる。本報では5 haを超える区画を含む農業農村整備事業を実施した大規模経営体を事例として,基盤整備の効果,成功要因などを分析した。その結果,区画や用排水特性に応じた作付体系を確立し,水管理の省力化を含む作業時間の大幅な短縮により収益を確保していることを示した。また,基盤整備の実現には事業実施前から耕作地の流動化を促進する素地があったこと,事業を契機に省力的な営農が行える区画形状や栽培方法について協議を重ねたこと,作業効率の高い機械体系を導入したことなどを示した。

  • 櫻井 睦, 澤口 勝彦, 杉山 哲也, 山岸 裕之
    2016 年 84 巻 11 号 p. 963-966,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    本地域は,岩手県中南部,北上川5大ダムである田瀬ダムを水源とする地域で,猿ヶ石川の左右岸に展開する花巻市および北上市にまたがる里地里山に囲まれた美しい農村景観の広がる水田地帯であり,稲作を中心に,大豆,麦,飼料および野菜などを組み合わせた複合経営を展開する県内有数の農村地帯である。北上川沿いには平坦地が広がり,その東方に行くに連れて緩やかな丘陵地・山地と続き,地形に合わせて造成された棚田が広がっている。本報では,平成20年度に着工し平成27年度末で事業完了した国営猿ヶ石川農業水利事業で整備した取入施設,立沢水路橋,猿ヶ石川サイホンなどの主要施設の整備内容や,事業実施による環境配慮などの地域との調和について報告する。

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