地方には,その気候・地勢・伝統のなかで醸成された特有の技術・知識がある。これらを開発途上国に研修を通じて普及するには,①活用可能な技術・知識の選択,と②地方研修に伴う制約の回避の2課題がある。香川県では,ため池研修を2010~2015年に実施した。その結果,計14カ国・48名の研修員を受け入れ,帰国研修員を通じて約9,000名の農家・技術者などに香川の技術・知識を普及した。さらに,スリランカで帰国研修員のサンプル調査を実施した結果,香川の技術・知識が活用されて農家が便益を得ていることを確認した。本報では,ため池研修で採用した技術・知識の選択と制約回避の工夫を紹介して,地方の国際協力活動への参加を促したい。