2017 年 85 巻 6 号 p. 563-566,a2
本報は,海外での調査に学生の人材育成の要点が潜在していると考え,「既存の海外インターンシップ制度を利用せず,専門知識と経験のある教員が学生をサポートしつつ,学生が主体となって渡航前の準備から始め,実習の域を越えた学生の現場調査・情報収集を行い,帰国報告書を作成したこと」を通じて,学生が農業土木技術者に関わる強い自己啓発を喚起するまでの過程をたどった。この試行から得た学生の人材育成に係る勘所は,学生が現場で経験した「肌感覚」,「受益者との至近距離」,「現場技術者の活躍の姿を目撃する」,「現場技術者の生き甲斐を感じる」であった。この調査に参加した新しい世代の学生は,農業土木技術者の社会貢献のあり方を見つめながら,学生自らがその役割を担いたいと思ったようである。