メタン発酵によって発電された電力は,再生可能エネルギーの固定価格買取制度において39円/kWh(税抜き)と比較的高い価格が設定されている。メタン発酵は,多量の水分を含むバイオマスから乾燥を必要とせずエネルギーを取得できる利点が大きいが,エネルギーの生産効率は必ずしも高くない。しかし,消化液の液肥利用によってメタン発酵施設では,バイオマス→メタン→二酸化炭素→バイオマスの炭素の循環と,バイオマス→消化液(窒素,リンなど)→バイオマスという窒素などの循環の環を2つ同時に構築できる。特に窒素などの循環の環は,もともと農村が有する食料生産機能やそれ以外の多面的機能と連携し波及効果をもたらす。