2019 年 87 巻 4 号 p. 285-288,a1
経済発展が著しく灌漑面積が拡大している東南アジアの国々における灌漑施設の計画・設計に資するために,ライフサイクルコスト(以下,「LCC」という)を考慮して水路タイプを検討する計算プログラムを構築した。水路の標準断面および対象国の単価情報,維持管理シナリオなどを調査により設定し,水路タイプごとのLCCの計算および感度分析を実施した結果,LCCに与える影響が大きい変数は社会的割引率であった。現在公共事業で適用されている4%の社会的割引率では,実際の国債利率である0%とした場合と比較してランニングコストを半分以下に過小評価することなど,社会的割引率を適正に設定することの重要性が示唆された。