ブラジルは1970年代から急速に農業生産を伸ばし,今日では世界農産物市場において輸出額で米国に次ぐ第2位で9%のシェアをもつ農業大国となった。この躍進を大きくけん引したのが,1970年代半ばから進められた同国中西部に広がるセラードと呼ばれる広大な未開サバンナ地域での農業開発である。たとえば,同国の大豆の生産は,1990年代から2017年にかけ8倍強の10,800万tに増大したが,そのうち60%がセラード地域産で占められた。日本は,このセラード農業開発を促進するためのパイロット事業(PRODECER)に官民挙げて協力し多大な成果をあげた。本報はこの協力事業を現時点で総括し国際的な標準とされる経済協力開発機構(OECD)の評価基準に照らし評価するものである。