日本の稲作農業を安定的に継続し,平野部に広がる広大な水田を荒廃地化させないためには,採算のとれる大規模担い手経営体による低コスト稲作が必要である。本報では,国際市場価格に対応できる真の低コスト稲作実現のための必要条件と実施方策について考察し,残された課題を示した。真の低コスト稲作のためには,担い手経営体の総経営面積拡大とともに経営体専従者1人当たりの経営規模を60~80ha/人以上に拡大する必要があること,経営規模・水田区画規模・農作業機械規模は同時一体的でなければ拡大が困難であること,総経営規模拡大のための既存の担い手経営体の合併統合や,専従者が過剰な場合の対応が課題としてあることなどを論じた。