東日本大震災からの復旧復興が進む福島県南相馬市においては震災前と比べて人口が大きく減少しており,水田農業地区では一部担い手への農地集積が進んでいる。今後,高齢農業者のリタイアが予想され条件不利農地では遊休化も心配される中,水管理作業の効率化や農地の有効活用のためにICTの活用が期待されている。本報では,福島県南相馬市の大規模農業生産法人の水稲作付圃場にICT自動給水栓を試験的に導入し,水管理作業の節減効果などを検証するとともに,土地改良事業によってICT自動給水栓を導入する際の施設計画・運用・維持管理にかかる課題や考え方について整理を行った。