水田農業を主とする東南アジアでの農村整備事業にグリーンインフラを実装するための適応的管理手法を展開することについて検討する。これまで水田農業の持つ多面的機能について議論され実証されてきたが,多面的機能は,グレーインフラにより自然から改変された水田という装置を使ってコメ生産を実施していることにより生じ,新たに農業地域に付加的に親自然的な環境を作るもしくは保全するグリーンインフラと異なる。本報では,生態系サービスに基づく水環境対策案とその内容に関した社会や個人の価値共創の可能性について検討し,グリーンインフラが定着する条件についてラオス国首都ビエンチャン市での事例を考察する。