農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
通潤用水を事例とした中山間地の水利システムの価値とその保全に関する一考察
島 武男西 慶喜
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 89 巻 2 号 p. 97-101,a1

詳細
抄録

中山間地の水利システムとして,重要文化的景観に制定された通潤用水を対象に,文化的価値,経済的価値,技術的価値を例示した。通潤用水では,その文化的価値が地域住民にも広く認識されていた。棚田米が高額で販売される等,文化的価値を契機とした経済的価値も着目すべき点であった。また,技術的価値として,管理技術には現在にも有効な技術的工夫を見いだすことができた。中山間地の水利システムの保全のために,農業土木技術者が,地域に根ざした価値に配慮した技術を用いること,これらを分かりやすく地域住民に発信し,価値を共有したうえで,他分野の研究者,専門家と連携しながら水利システム保全を行うことが求められる。

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 農業農村工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top