2011年東北地方太平洋沖地震で決壊した藤沼ダムは,同規模の地震動に対しても健全性を維持可能な要求性能を保証し,再度災害を防止するため,設計と施工の両面での技術的な課題を克服して再構築された。復旧ダムは防災力の向上と合理的な水利用を図るため,管理システムと警報設備の整備を行った。試験湛水中の挙動確認結果では適切な遮水性能と安全性が確認された。2021年福島県沖地震を対象とした再現解析にて,設計と施工の妥当性および安全・安心なダムの復旧が実現されていることが確認できた。一連の設計施工の考え方とその実証的な取組みは,今後のダム耐震性能確保の面で貴重な教訓となっていると評価している。