開発援助の歴史においては, 特に75年以降, 社会文化的側面の重要性が認識されるようになると共に, 文化人類学の一領域である開発人類学が開発援助の分野で発達してきた。それは従来の技術中心の農村開発では住民の中の社会的弱者にしわ寄せが生じる危険性があり, 社会的公正性に配慮するために, 社会文化的側面の検討が必要であることが認識されるようになってきたためである。より社会文化的に妥当な潅漑開発を行うためには, プロジェクトの形成・設計段階から社会文化の専門家を参加させると共に, 技術者の異文化理解訓練, 参加型開発を推進すべきである。