本調査では新潟県の中山間地域を俯瞰する基盤管理のため, 65枚の放棄水田について, 土壌の水分状態や自生する草本植物, 地理情報および土壌硬度を調査した。その結果次の点を明らかにした。(1) 調査地区では, 湿潤状態の圃場が比較的多かった。(2) 圃場の水分条件は耕作放棄年数と相関性が低く, 圃場の地理条件や気象条件に依存した。(3) 湿潤タイプ圃場における作土層の厚さ, および硬盤層の硬度は, 耕作中の水田に近似した。(4) 耕作を放棄しても田面を湿潤に保つことで農地基盤の破壊が緩和され, かつ放棄年数とほぼ無関係に硬盤の強度が維持された。(5) 乾燥状態の圃場では, 畦畔の崩壊等による土壌流亡や積雪荷重による圧縮のため作土層が薄くなった。