抄録
本稿では,近年の産学連携の重要性とそのコミュニケーションにおけるICT利用についての検討の必要性を認識し,産学連携の電子メール利用における不読問題を取り上げ,その要因および改善について検討を行った.
具体的には,受信者にとって自分に該当しないメール(非該当メール)への反応を中心に,教員や企業などの受信者の非該当メールに対する認識と行動の相違に焦点を当て,非該当メールの受信・閲覧・業務への影響について調査を行った.調査結果から,企業などと比べて教員においては非該当メールの割合が特に高く,非該当メールが送り続けられる場合,教員は非該当の可能性のあるメールを読まない措置をとることがわかった.不読問題を引き起こす可能性のある要因を明らかにした.それらの要因の分析に基づき,次の3点の改善方法を提案した.a.教員が個人業務との関連性でメールの該当性を判別する傾向が強い点を意識すること,b.送信に際してなるべく内容が明確に伝わる件名を書くこと,c.教員との密接な関係を持つ組織・コミュニティーを経由して情報を配信すること,である.