抄録
産学連携プロジェクトにおいて,大学の法的責任が争点となる事例が見受けられるようになり,大学や研究者にとって,研究成果の移転に伴うリスク管理が重要な課題となっている.本稿では,人員や費用等のリソース面での制約が多い中でも,大学や研究者が主導的役割を担いながら,大学とは異なる法人格を有する法人を利用することによって,大学から事業リスクを分離する手法を提供する.具体的には,産学連携において見過ごされがちなリスクを指摘するとともに,法人形態を選択する基準を提示する.さらに,東京海洋大学において実施した法人設立事例を紹介する.