抄録
留学生の受入れはグローバル人材の獲得戦略において,非常に重要な手段の一つである.その中で留学生奨学金制度は戦略の一部として,大きな役割を果たす.しかし,私費留学生を対象とする奨学金制度は留学生10万人計画の時代から根本的に変わっていない.このような改革の遅れは,制度の陳腐化を招き,政策目標を達成するための役割を失うだけでなく,日本がグローバル人材の獲得競争で不利に立たされかねない.
本稿では,まず既存の留学生奨学金制度を整理し,その役割と問題点を指摘する.次に,人材を獲得するための奨学金制度の策定について論じる.さらに介護福祉分野を例に,外国人材を確保するための一つの手段としての留学生奨学金制度について検討する.