2018 年 14 巻 2 号 p. 2_21-2_30
本稿の目的は,大学等の研究成果を,産学連携を通じて円滑に事業化を図る観点から,大学等の単独保有特許の有用性を検討することである.「産学連携活動を通じて,大学等の研究成果の事業化を成功に導くためには,当該分野で基本的技術に関わる特許権を大学等が単独保有していることが望ましい」との仮説に基づき,公開データを用いて検証を行った.
その結果,「技術移転収入の多い大学等では単独特許出願の割合・件数が多い」との単純な傾向は認められなかった.一方,文部科学省が2007年に刊行した産学連携事例集では,掲載事例の過半数で,単独特許の可能性がある特許権の存在が確認された.
戦略的に単独特許を活用した共同研究等の展開により,産学連携活動で高い実績を上げている機関の事例が報告されており,適切な単独特許の確保は,大学等の研究成果の事業化に重要な役割を果たす可能性がある.