2019 年 15 巻 1 号 p. 1_17-1_23
三重県をフィールドとする活動を10年以上行っているが,最近,地域の雰囲気が好転する事例を観察することがある.三重県南部は自治体の消滅が危惧されるほど衰退した地域であるが,都市との格差が極限まで達した頃にリープフロッグ現象と思われる経済事象が現れてくる.この経験から,牽引力がある企業を見出し,成長を促すことで地域全体の雰囲気を変えていくなど,社会変化に対応したより踏み込んだ役割が地方を拠点とする国立大学には期待されてくる.本稿では地方大学による社会連携の可能性を考察することに加え,大学経営の視点から大学と地域社会とが連携する意義を考える.