産学連携学
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事例研究
人文・社会系産官学連携の一考察
南 了太
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2021 年 17 巻 1 号 p. 1_85-1_92

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抄録

本論は,人文・社会系産官学連携の現状に関する考察である.1995年に「科学技術基本法」が制定され,四半世紀の間,理工・生物系分野に偏重した産官学連携が推進されてきた.近年,人文・社会系分野の知識の活用が望まされる一方,人文・社会系分野のいくつかの事例は見当たるもののこれまで十分な考察がなされてこなかった.そこで,政策や官民の人材の状況,大学の研究支援者,共同研究数・金額,先行研究より現状の考察を行った.その結果,人文・社会系分野の共同研究金額件数は全体の2%で,日本の公的機関における専門別研究者の内,人文・社会系分野の研究者は3%で,企業における人文・社会系分野の研究者は1.3%であった.また,大学における人文・社会系分野の産官学連携の支援者は8%であった.理工・生物系分野に比して,人文・社会系分野はリソース投入が僅かであり支援体制の在り方そのものを考える必要がある.本視点は今後人文・社会系産官学連携を推進する際の基礎データとして参考になるものだと考える.

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