2021 年 18 巻 1 号 p. 1_49-1_58
科学技術基本法制定 (1995) 以降,日本の産学連携の諸活動は,規模的には拡大基調が続いている.しかし,第5期科学技術基本計画 (2016) では,「日本の産学連携はいまだ本格化せず,イノベーションを生み出す力に繋がっていない」として,消極的評価がなされている.その原因の一端として,産学間の共同研究成果の活用の問題が指摘されている.共同研究成果の活用条件が十分調整されずに,産学間で共同特許出願される実務慣行により,共同研究成果が「死蔵化」されている可能性がある.本稿では,国内の大学産学連携部門へのアンケート調査等を通じ,この死蔵化の発生状況と原因を分析した.