本研究では,研究機関における産学連携活動は論文生産性にプラスの効果があるはずとの仮説に基づいて,産総研の研究ユニットの論文生産と論文生産に影響を与える可能性がある産学連携活動との相関分析を行った.その結果,共同研究実施件数(0.2≦│R│<0.4の弱い相関),技術研修受入人数(0.4≦│R│<0.7の中程度の相関)との間には相関があること,外来(客員)研究員受入人数,連携大学院による大学院生受入人数との間にほとんど相関がないことが分かった.限定的ではあるが,仮説は検証された.さらに,全体とは異なる傾向を示す分野があることから,個々の分野に全体の傾向を当てはめることには注意を要することが分かった.今後は,論文の内容や共著者の分析に基づいて,産学連携活動の質的な効果の研究を行うことが課題である.