廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
廃棄物貯留時の水分吸着による自然発火に関する研究
角田 芳忠町田 高穂松藤 敏彦東條 安匡松尾 孝之
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2009 年 20 巻 1 号 p. 39-51

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抄録
屋内外に大量に貯留・堆積されることが多い木くずやRDFなどの廃棄物試料を対象として,水分吸着による発熱現象を実験的に明らかにするとともに,数値シミュレーションにより自然発火の可能性を評価した。主要なパラメータである平衡含水率を測定し,熱分解残渣が他試料と異なる変化を示すことを確認した。水分吸着実験により吸着速度式を検討したところ,含水率の上昇とともに速度定数が低下するモデルが実験値とよく適合した。吸着熱を考慮した計算モデルが,水分吸着実験における温度測定結果と良好に一致し,水蒸気および液水吸着のいずれの場合も適合した。実堆積規模の内部温度変化に関する数値シミュレーションにより,低温酸化による常温からの自然発火の可能性は低いことを確認した。しかし,初期含水率が低い廃棄物試料では,水分吸着により30℃程度温度が上昇するため,自然発火を誘発する可能性がある。
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© 2009 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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