廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
焼却灰セメント原料化のための有機性コンポストを混合した都市ごみ焼却灰からの塩素溶出挙動の解明
濱村 研吾志水 信弘土田 大輔永瀬 誠鳥羽 峰樹黒川 陽一高橋 浩司小渕 祐二末永 朋則成岡 朋弘江藤 次郎島岡 隆行
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2009 年 20 巻 1 号 p. 52-60

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抄録
焼却残渣の有効利用は最終処分場の延命を図る有効な手段であり,セメントの代替原料としての資源化が代表的である。しかし,焼却残渣は高濃度の塩素を含有しており,セメントの代替原料として混合できる量も制限を受ける。そこで,焼却残渣に有機性コンポストを混合し,自然降雨や散水により,焼却残渣中の塩素濃度を低減させる技術について,大型のライシメータを用いて検討し,塩素の溶出挙動について解明した。その結果,都市ごみ焼却灰に生ごみコンポストを混合した試料の塩素含有率は,都市ごみ焼却灰単独試料の半分まで減少した。また,都市ごみ焼却灰中の難溶性塩素の可溶化と溶出は,大気や自然降雨由来の二酸化炭素によるアルカリ成分の中和およびアルカリ成分の溶脱により,微生物の活動に適した範囲までpHが低下し,微生物の活性が上昇した結果,生ごみコンポスト中の有機物から硫酸,二酸化炭素,有機酸等が産生し,さらにpHが低下したためと考えられた。
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© 2009 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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