廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
醗酵食品残渣成分で回分培養した乳酸菌が生産する高濃度乳酸の電気透析による分離
上野 良平森 智和尾形(斎藤) 美貴橋本 卓也小嶋 匡人長沼 孝多木村 英生
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2014 年 25 巻 p. 85-95

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抄録
醗酵食品残渣由来の成分に2種類の無機金属塩のみを添加した培地 (醗酵食品残渣培地) 中で乳酸菌による乳酸醗酵を行った。培養を終えた当該培地から簡便・迅速に高濃度の乳酸を分離するために,電気透析法の適用を試みた。pH調整剤として用いたアンモニアを含むLactobacillus rhamnosus培養後の醗酵食品残渣培地から,乳酸とアンモニアを分離する条件を検討した。バイポーラ膜を用いて電気透析を行うと,10%(w/v) 前後の高濃度乳酸を含む醗酵食品残渣培地から,一回の透析操作で乳酸とアンモニアを分離することができ,その分離能は透析後に行う0.5%(w/v) 硝酸洗浄によって維持された。硝酸洗浄は,いったん分離したアンモニアの逆拡散防止にも効果を発揮した。本研究で提案する手法は,微生物の生育に必要な微量成分が培養液から除去されるという,既往の電気透析醗酵法にみられた問題を解決するものと考えられる。
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© 2014 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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