廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
集約型還元溶融施設による焼却残渣再資源化事業のマテリアルフロー解析による資源代替性および LCCO2 評価
山口 直久 河井 紘輔大迫 政浩松藤 敏彦
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2018 年 29 巻 p. 191-205

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抄録

焼却残渣の溶融メタル中に,銅・鉛等のベースメタル以外に,金・銀等の貴金属類が含まれている。このことを利用し,焼却残渣を集約して溶融処理を行い,非鉄製錬施設において山元還元する技術がある。本研究は,この集約型還元溶融に注目し,従来のセメント原料代替やエージングによる路盤材利用と資源性,LCCO2 を比較した。
 まず既存文献および実稼働施設のプロセスデータをもとに,マテリアルフロー解析を行った。次に回収金属が天然金属鉱石をどれだけ代替するか (資源代替性) を,焼却残渣埋立処分をベースシナリオとして評価を行った。その結果,集約型還元溶融における焼却残渣 1 ton は,銅・鉛・亜鉛精鉱を数 kg~十数 kg 程度,金・銀鉱石を 1 ton 程度それぞれ代替すると推計された。一方,LCCO2 算定では温室効果ガス (GHG) 排出量が増加するものの,将来的な電力構成の変更,立地場所の最適化により,埋立処分よりも削減される可能性があることが示された。

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© 2018 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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