抄録
本研究は,社会的ネットワークがウェイスト・ピッカーの 「有価物収集活動の成果を表す指標 (日収・収集量・収集物単価)」 に与える影響を明らかにする。ウェイスト・ピッカー 279 人から収集したデータを統計学的に分析した結果,他者との繋がりの程度が強い人ほど,単価が低い収集物を収集する傾向にあること,また結びつきの強い集合群間の一部で 「有価物収集活動の成果を表す指標」 に差異が生じていることが明らかとなった。前者の結果は,他者との繋がりの程度の強い人が協調を重んじ,高単価な有価物の収集に積極的に関与していないためと推察される。また,後者の結果は,類似した属性的特徴をもつ人が密な関係を結び,その類似した属性的特徴をもつ人の 「有価物収集活動の成果を表す指標」 が類似していることによると解釈できる。さらに, 「密な関係を結んだことにより有価物収集活動の成果を表す指標が向上した」 という創発特性の可能性も示唆された。