廃棄物資源循環学会論文誌
Online ISSN : 1883-5899
Print ISSN : 1883-5856
ISSN-L : 1883-5856
論文
最終処分場の適正化に向けた調査と対策Ⅱ
――保有水等の流出の観点から――
宮原 哲也八村 智明大野 博之 小坂 英輝細野 賢一山内 一志山中 稔
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 30 巻 p. 14-28

詳細
抄録

既設の一般廃棄物最終処分場において不適正な状況を改善するための適正化事業を行った。不適正な最終処分場では,埋立地からの保有水等の流出が懸念材料となることが多く,この最終処分場においても,周辺環境の保全の観点からの調査を実施し,その調査を用いた数値シミュレーション等を実施した。
 本研究の結果,廃棄物埋立地内の保有水等の水位が高いとき,現地の地下水位や水質観測の結果と整合する埋立地外への保有水等の流出が生じる可能性のあることが明らかとなった。この恒久対策として,埋立地内の水理ポテンシャルを周辺地下水のそれよりも下げる工法 (ウォーターバリア工法),たとえば集水井工の設置が有効であることが数値シミュレーションにより示された。この工法は,周辺環境の保全に有効なだけでなく,力学的安定性にも有効な工法であり,施工性・コスト面でも優れている。

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
前の記事 次の記事
feedback
Top