2019 年 30 巻 p. 14-28
既設の一般廃棄物最終処分場において不適正な状況を改善するための適正化事業を行った。不適正な最終処分場では,埋立地からの保有水等の流出が懸念材料となることが多く,この最終処分場においても,周辺環境の保全の観点からの調査を実施し,その調査を用いた数値シミュレーション等を実施した。
本研究の結果,廃棄物埋立地内の保有水等の水位が高いとき,現地の地下水位や水質観測の結果と整合する埋立地外への保有水等の流出が生じる可能性のあることが明らかとなった。この恒久対策として,埋立地内の水理ポテンシャルを周辺地下水のそれよりも下げる工法 (ウォーターバリア工法),たとえば集水井工の設置が有効であることが数値シミュレーションにより示された。この工法は,周辺環境の保全に有効なだけでなく,力学的安定性にも有効な工法であり,施工性・コスト面でも優れている。