廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
硫黄酸化細菌の振とう培養によるし尿汚泥焼却灰からの最適リン溶出について
中村 洋祐 大塚 将成治多 伸介大森 大輔
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2020 年 31 巻 p. 1-12

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抄録
硫黄酸化細菌を用いたバクテリアリーチング (BL) により,し尿汚泥焼却灰からの最大リン溶出濃度とその影響因子の把握を目的に振とう培養実験を行った。全 14 施設の焼却灰のうち最も高いリン溶出濃度は,焼却灰添加率 6 % で 5,700 mg-P L−1 であった。リン溶出濃度の高い焼却灰は焼却灰添加率,リン溶出率,焼却灰の P 含有率のいずれも高く,リン溶出濃度の低い焼却灰はこれら 3 項目の一部が極端に低かった。リン溶出率の高い焼却灰は,凝集剤が Fe 系より Al 系が使用されており,含有リン酸塩が Ca9Al(PO4)7 より Al(PO4) を多く含むと考えられた。リン溶出濃度 3,000mg-P L−1 以上を高濃度溶出,未満を低濃度溶出として判別分析を行うと,高濃度溶出の判別率 92.6 % の有意な判別関数を得た。添加焼却灰中の P が多いほど,Ca, K, Al が少ないほど,高濃度溶出であることがわかった。BL 溶出の使用薬剤経費から試算したリン溶出単価は硫酸による化学溶出の 1/3 から 1/4 であった。
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© 2020 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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