抄録
窯業系サイディングの再生利用のため,サイディングボードの裁断工程で排出される切粉を熱処理したときの分解挙動や熱処理後の水和自硬性を評価した。その結果,サイディング切粉中の有機物は 530 °C の熱処理で除去された。また,530 °C で熱処理することにより水和自硬性を有するラーナイト (2CaO・SiO2) が,700 °C で熱処理することによりワラストナイト (CaO・SiO2) が生成した。さらに 530 °C で熱処理したサイディング切粉は水の添加により硬化し,硬化体の 3 点曲げ応力は 530 °C での熱処理時間とともに大きくなったが,30 分以上でほぼ一定となった。以上のことから,サイディング切粉を 530 °C で熱処理することで水和自硬性を付与できることが示唆され,路盤材や再生骨材だけでなくセメントとして再生利用できる可能性が考えられた。